初めて売れた金額は、25ドル。買ってくれたのは、海の向こうの誰かでした。
個人開発者のakifumiさんが公開した、為替計算アプリの初売上の記録です。気になるのは、その前日にしたこと。海外掲示板に投稿したものの、反応はあまりよくなかったそうです。それでも、その時期にダウンロードが伸び、購入がありました。
アプリを紹介しても、返ってくるのは厳しいコメント。それで翌日に売れたというのが、面白いところです。
AIで何か作って売ってみたいと思っても、完成したあとにどうやってお客さんを見つけるのか、なかなか想像がつきません。今回は、そんなときに読んでみたい3人の開発記録を紹介します。
AIで開発した例のほか、AIが普及する前から続けてきた方の話も紹介します。章の挿絵はイメージです。
初売上25ドル。その前日の投稿には厳しいコメント

akifumiさんの「NomadCalc」は為替計算アプリ。2026年3月の記録では、公開から1か月以内に買い切り版が25ドルで売れたと報告しています。
前日のRedditへの投稿は、否定的な意見が多かった一方、約4,000回見られ、その期間にダウンロードが増えたそうです。その購入者がRedditを見た人だったかどうかは、分かっていません。akifumiさんの初売上の記録
この話には、発信する側として少し救われるところがあります。投稿のコメント欄だけを見ていたら、「需要がなかった」と引っ込めてしまいそうですから。
コメントを書かずにアプリを試す人もいるでしょう。投稿の反応がいまひとつでも、ダウンロードや購入が増えていたら、そこで紹介をやめるのはもったいない。コメント欄と一緒に、アプリの利用状況も見ておきたいです。
半年後の1,960円。サービスは、もう完成していた

さくらおかひろのりさんが作った「L-Proxy」は、LINE公式アカウントから届く情報を複数のサービスに転送する仕組みです。本人はClaude CodeやCodexを開発に使い、決済や無料体験も用意したと書いています。
2026年7月の報告では、公開から約半年で売上は1,960円。一方、SNSでの告知や知り合いへの案内はしていなかったそうです。それでも無料体験から有料利用に進んだ人がいました。ただ、利用者がどこでサービスを知ったのかは書かれていません。L-Proxy開発者の振り返り
完成したサービスがあって、決済もできる。それでも売上は半年で1,960円。作ることに夢中になっていると、告知が後回しになるのも分かる気がします。
機能を一つ追加すれば、できることが増えます。自分で進み具合が分かるので、ついもう一つ作りたくなる。一方、告知をしても誰かが反応してくれるとは限らず、待つのは落ち着かないものです。
利用者が増えないときは、機能を足す前に、商品ページが見られているかを確認したいです。ほとんど開かれていないなら、使ってくれそうな人に紹介するところから始めたいです。
ページを開く人はいるのに使われないなら、使い道が伝わっていないのかもしれません。試してもらえているなら、「どんな作業に使いましたか」と聞いてみる。機能が足りないかどうかも、その返事を聞いてから考えられます。
大きく作りすぎたあとに選んだ、ボウリングのアプリ

なかぽんさんの個人開発は2017年から。いくつもの交流機能を詰め込んだサービスを約1年かけて作ったものの、保守の重さや収益化の難しさに直面し、閉じた経験を公開しています。
その後、機能を絞って早く公開する方針に変え、ボウリングのスコア管理アプリ「ボスク」を開発。SNSや広告、ストアの説明改善などを試し、2025年9月の振り返りで、個人開発の月の売上が20万円を超えたと報告しました。月20万円というのは個人開発の売上全体の話で、ボスクだけでいくら利益が出たかは別です。なかぽんさんの個人開発の記録
AIで作れる範囲が広がるほど、「これも付けたい」が増えそうです。予約も、チャットも、分析も。一人で全部作れたら楽しそうですし、完成した画面を見れば達成感もあると思います。
ただ、一人で運営するなら、問い合わせへの返事も不具合の修正も自分の仕事です。作れるからと機能を増やして、公開後に忙しくなりすぎるのは避けたいところです。
ボウリングのスコア管理なら、例えば「前回のスコアを探すとき、迷いませんでしたか」と聞けます。何に使うアプリかがはっきりしていると、使った人にも感想を聞きやすそうです。
自分なら、いまどこを試す?

25ドルは最初の1件、1,960円は公開から約半年の売上、20万円は月の売上です。金額を比べるより、自分がいま困っていることに近い話を参考にしたいです。
| いまの状態 | 次に試すこと | 見たい反応 |
|---|---|---|
| 作ったけれど、ほとんど知られていない | 困っていそうな人がいる場所で、使い道を一つ紹介する | 記事や商品が開かれたか、試されたか |
| 試されているが、購入されない | 何に使ったか、どこで困ったかを聞く | 有料機能が必要な場面を説明してもらえるか |
| 機能が増えて、運営が重くなった | よく使われる機能と、維持に手間がかかる機能を整理する | 問い合わせや手直しの時間がどう変わるか |
例えば、AIで請求書を整理するアプリを作ったとします。「月末のこの作業に使いたい」と言ってもらえたら、その作業についてもう少し聞いてみたくなります。
月に一度使うのか、毎日使うのか。アプリを自分で操作したいのか、整理した結果だけ欲しいのか。話を聞くうちに、必要な機能や売り方も考えやすくなります。
まだ何を作るか決まっていなければ、最近、人に頼まれた面倒な作業を思い出してみるのもよさそうです。その作業を楽にできそうなら、頼んできた相手に使ってもらえるかもしれません。
初売上のあとも、楽しく続けるために

初めて売れたら、うれしくて次も作りたくなると思います。そのときに、使ったお金と時間もメモしておくと、無理なく続けられそうか考えられます。
私は会社を運営していくために、簿記の勉強にも取り組んできました。売上が増えるのはうれしいですが、一人で事業を続けるなら、費用を払ったあとにいくら残るかも気になります。
AI利用料、サーバー代、問い合わせへの返信時間。商品を作る前に一度並べておくなら、一人SaaSの費用と損益分岐の考え方も参考にしてください。自分の時間をどこまで使えるか考えるなら、一人社長のAI・外注・採用の選び方も参考になります。
次の週末、作りたいものが一つ浮かんだら、「これを最初に見せたい人」も一緒に思い浮かべてみてください。完成を待たずに、どんな場面で困っているか聞いてみるのもよさそうです。
「それ、できたら使ってみたい」と言ってくれる人がいたら、完成させるのも楽しみになりそうです。できたものを試してもらって、感想を聞く。有料でも使いたいと思ってもらえるか、そこから相談してみたいです。
最初の売上が25ドルだったとしても、自分の作ったものを選んでくれた人がいる。その1件は、やっぱりうれしいだろうなと思います。
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