アイラ島の蒸溜所は、1779年のボウモア、1815年のラフロイグとアードベッグなど、創業年がやたら古い世界です。その中でキルホーマンは2005年創業。ウイスキーの世界では、できたばかりの新入りといっていい蒸溜所です。
しかも家族経営で、畑の大麦から製麦、蒸留、熟成、瓶詰めまでを農場の敷地内で完結できる。老舗だらけの島に後から入って「農場の酒」で勝負しているところが面白くて、定番のマキヤーベイを調べてみました。まだ飲んだことはありません。
2005年創業は、島では新入り
マキヤーベイは、キルホーマンが通年で販売するフラッグシップです。700ml、46%、麦芽のピートレベルは50ppm。バーボン樽とシェリー樽を使い、年数表記を前に出さず、複数年の原酒を組み合わせています。
限定品の多い蒸溜所なので、最初に見るならこの定番からになりそうです。創業からまだ20年ほどの蒸溜所が、200年選手と同じ棚に定番として並んでいると考えると、それだけでちょっと応援したくなります。
畑から瓶詰めまで農場で終わる
キルホーマンは畑で大麦を育て、伝統的なフロアモルティングを行い、アイラの泥炭で乾燥させます。糖化後の粕は農場の牛の飼料になり、発酵は90時間。蒸留、熟成、瓶詰めも敷地内で行います。麦畑と牛と蒸留器が同じ敷地にある酒造り、という光景を想像するだけで楽しいです。
一つ引っかかったのは、原料から瓶詰めまで完全に島内で行う「100% Islay」が別の商品ラインだということです。私は最初、マキヤーベイもそうなのだと思いかけました。農場の看板と商品名は、別の話として覚えておいたほうがよさそうです。
50ppmなのに説明はレモンと桃
50ppmは蒸留前の麦芽に含まれるフェノール値で、数字としてはかなり強い部類です(読み方はオクトモア16.1の記事にまとめました)。ところが公式ノートに並ぶのは、レモンの皮、バニラ、花、桃、洋梨。味にはトロピカルフルーツ、はちみつ、バタースコッチまで出てきます。
バーボン樽の割合が高く、バニラやはちみつが煙を明るくして、シェリー樽がレーズンや熟した果実を足す、というのが公式の説明です。余韻ではシェリーを含んだ果実の後に黒こしょう、海塩、海のピート煙。レモンとバニラがどこで塩と煙に変わるのか、飲むなら真っ先にそこを確かめてみたいと思っています。
アードベッグと同じ数字で、ここまで違う
私がよく飲むアードベッグ10年も50ppmを掲げます。同じ数字なのに、マキヤーベイの公式ノートはレモンと花、バタースコッチ、海の煙。アードベッグは柑橘、黒こしょう、タール、コーヒー。並べて読むと、ppmという数字だけで味を決めつけてはいけないことがよく分かります。
畑の話を知ってから飲んでみたい
正直、マキヤーベイのことは「アイラの新しい蒸溜所の定番」くらいにしか思っていませんでした。調べてみると、大麦の畑と牛のいる農場から出てくる50ppmのウイスキーという、他では聞かない立ち位置にいました。
アードベッグと同じ数字がどれくらい違う味になるのか、この背景を知ったうえで飲み比べてみたい。今度スモーキー系を買い足すときの、有力候補になりました。
お酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。体質や体調に合わせ、無理のない量で楽しんでください。
