オクトモア16.1の「ピートレベル101.4ppm、アルコール度数59.3%、5年熟成」という仕様を見て、私は少し身構えました。どれも普段よく見るボトルとはかなり違う数字です。
これだけ見ると、煙とアルコールの強さを競うウイスキーに思えます。ところが公式ノートには、リンゴやアプリコット、塩キャラメル、はちみつを思わせるメロン、チョコレート、ココナツ。しかも説明には「delicate peat smoke(繊細なピート煙)」とあります。世界最強クラスの数字と「繊細」という言葉が同居しているのはどういうことなのか、気になって仕様を読み込みました。まだ飲んだことはありません。
とにかく数字が極端
| 項目 | 公式情報 |
|---|---|
| エディション | Octomore 16.1 |
| 容量 | 700ml(70cl) |
| 熟成年数 | 5年 |
| アルコール度数 | 59.3% |
| フェノール値 | 101.4ppm |
| 大麦 | 100%スコットランド本土産コンチェルト種 |
| 蒸留 | 2018年収穫の大麦を2019年に蒸留 |
| 熟成樽 | ファーストフィル・バーボン樽 |
| 熟成場所 | 全期間アイラ島 |
熟成年数は5年です。16年、18年といった長期熟成のボトルとは、比べるところが違います。
非常に強くピートを焚いた大麦を使い、ファーストフィル・バーボン樽で5年熟成しています。長い熟成で煙を穏やかにするのではなく、若い原酒の強さと樽由来の甘さを一緒に見せるエディションです。
101.4ppmは完成品の煙たさの点数ではない
101.4ppmは、蒸留前の麦芽に含まれるフェノール類の濃度です。グラスに注いだ完成品の煙たさは、蒸留や樽熟成を経た後の香りとして確かめることになります。
蒸留の切り分け、樽、熟成期間、瓶詰め時の度数によって、飲んだときの印象は変わります。同じppmでも、焦げた煙、土、海、薬品、甘い煙など、公式ノートに現れる言葉は銘柄ごとに違います。
実際、オクトモア16.1の公式説明には「delicate peat smoke(繊細なピート煙)」という、数字と一見矛盾した言葉が出てきます。101.4ppmだけを見て、完成品の味まで決めつけないほうがよさそうです。
あえての5年熟成
使われるのは、バーボンを一度熟成したファーストフィルの米国産オーク樽です。スコッチを初めて詰める樽なので、バニラ、キャラメル、ココナツのような樽由来の要素を受け取りやすくなります。
長期熟成で少しずつ穏やかにするのではなく、5年という短い期間に、強いピート、大麦の甘さ、ファーストフィル樽の影響をそのまま残す造りです。16年熟成のラガヴーリンとちょうど反対側に立っているのだと考えると、面白い位置取りをしています。
「繊細な煙」と果物とチョコレート
公式ノートの香りは、海のしぶき、果樹園の果実、乾燥ヒース、カモミール、バニラ、焼いたアーモンド、杉、燻製パプリカ、ヨード。味には穏やかなピート煙、塩キャラメル、はちみつを思わせるメロン、アプリコット、シナモン、八角、海塩、トフィー、チョコレート、ココナツ。余韻は長いピート煙、黒こしょう、トフィー、海塩です。
101.4ppmの酒の説明で、煙の描写が「穏やか」「繊細」の側に寄っていて、果物と菓子の名前がここまで多い。煙の量を競うだけのボトルなら、こういうノートにはならないはずです。数字で身構えた分だけ、この言葉の並びが余計に気になっています。
「.1」という枝番を見ないと後で困る
オクトモアは、同じシリーズ番号の中に16.1、16.2、16.3など複数のボトルを用意します。数字の前半が世代、後ろの枝番が大麦の産地や使う樽などの違いです。16.1はスコットランド本土産大麦とファーストフィル・バーボン樽ですが、別の枝番では変わります。
つまり「オクトモアを飲んだ」という記録だけでは、後から中身を追えません。この記事の101.4ppmや59.3%も、15.1や16.2にそのまま当てはめることはできません。帳簿と同じで、番号まで書いて初めて記録として役に立つ、ということのようです。
買うかどうかは、まだ決めかねています
限定展開のボトルなので、値段はそれなりにしますし、59.3%は普段の40%台のハイボールとはまったく別の飲み物になりそうです。正直、最初の一本というより、スモーキー系をひと通り楽しんだ後のご褒美枠だと思っています。
それでも、101.4ppmを「繊細」と言い切るノートの答え合わせは、いつかしてみたい。買うときは枝番と度数を確かめて、水差しも一緒に用意するつもりです。
お酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。アルコール度数が高いため、体調に合わせて少量ずつ楽しんでください。妊娠中・授乳期の飲酒は避けてください。
