ブルックラディという蒸溜所は少し変わっていて、ノンピートのクラシックラディ、ヘビーピートのポートシャーロット、極端な数字を掲げるオクトモアと、性格のまるで違う3系統を同じ設備で造り分けています。今回はその真ん中、ポートシャーロット10年の話です。まだ飲んだことはありません。
商品情報でまず目に入るのは、40ppmと50%という強そうな数字です。ところが公式ノートを読み進めると、バニラカスタード、レモンハニー、バノフィーパイ。数字と言葉の落差が激しくて、どんな酒なのか気になってきました。
一つの蒸溜所に三つの人格
ポートシャーロット10年は、100%スコットランド産大麦を40ppmまでピート乾燥させた10年熟成、50%のシングルモルトです。樽はファーストフィルの米国ウイスキー樽65%、セカンドフィルの米国ウイスキー樽10%、セカンドフィルのフランスワイン樽25%。無着色のノンチルフィルターで仕上げています。
ピート値だけを見れば、ノンピートのクラシックラディと101.4ppmのオクトモアのちょうど間です。ただ、公式の説明を読むと、単なる中間というより「島内完結の10年熟成」という独自の看板を掲げた銘柄でした。40ppmは麦芽のフェノール値、50%は瓶詰め時の強さ。どちらも完成品の煙たさを採点した数字とは別物です。
40ppmなのに、ノートは甘い言葉だらけ
香りは乾いた土っぽい煙、海の空気、キャラメル、ファッジ、バニラカスタード、しょうが、ナツメグ、クローブ。味にはココナツ、レモンハニー、燻製牡蠣、塩を含んだ砂。余韻にはファッジ、オレンジ、マンゴー、バノフィーパイ、リンゴ、アプリコットまで続きます。ヘビーピートの説明として読むと、驚くほど菓子と果物が多い。
この甘さの背景として参考になるのが樽の割合です。バーボンなどの米国ウイスキーを熟成した樽が4分の3、フランスワイン樽が4分の1。バニラやカスタードと乾いた煙が同じノートに並ぶ理由は、このあたりにありそうです。
島から一歩も出さずに10年
ポートシャーロット10年は、アイラ島で考案され、蒸留され、熟成され、瓶詰めされます。蒸留後すぐ本土の倉庫に送らず、ロッホ・インダールの岸で10年を過ごすことを、公式は銘柄の中心に置いています。
海辺の物語だけで味を語る銘柄は多いですが、ここは「どの工程を島で行ったか」まで明示するのが特徴です。クラシックラディのバッチ公開といい、この蒸溜所は情報の出し方が一貫して具体的で、調べる側としてはとてもありがたい相手でした。
燻製牡蠣とバノフィーパイの同居を確かめたい
私はアードベッグやラフロイグのハイボールに魚介を合わせるのが好きなので、公式ノートに燻製牡蠣と塩を含んだ砂が出てくる時点で、この一本にはかなり期待しています。その同じ舌の上にバノフィーパイの甘さも来るというのだから、想像がまとまりません。
強い数字の一本ですが、水を加えた後の変化も公式ノートに分けて書かれています。買ったら、煙、塩気、菓子の甘さがどの順番で出てくるのかを確かめてみたいと思います。
お酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。体調に合わせて無理のない量で楽しんでください。
